1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 19:26:36.85 ID:C0zp+Q/kO
彦星「……いや、今年もちょっと、その、勇気が」
織姫「何百年経ってもヘタレじゃの、そなたは」
引用元
織姫「ほう。今夜こそ、わらわを押し倒す気になったのか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341656796/
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 19:31:59.08 ID:C0zp+Q/kO
織姫「牛は元気か? 食うに困ってすき焼きにでもしてはおらぬであろうな?」
彦星「そっ、そんなバカな事するかよ! 元気だよ!」
織姫「ならば良いが。そなたが零落してそんな馬鹿をしておらぬか、一年の間毎日心配しておったのじゃ」
彦星「そんな要らない心配毎日すんなよ。で、そっちはどうなんだよ」
織姫「ま、相変わらずというところかの」
彦星「それじゃ全然分かんないぞ。仕事とか体調とか人間関係とか、どうなんだ具体的に」
織姫「……なんじゃ、心配してくれておるのか?」
彦星「なっ、してねーよ! お前の心配するくらいなら牛の心配するわ!」
織姫「ふふ、乙女には秘密が多いものじゃ。ま、そなたの心配は全て杞憂であるとだけ、言っておくかの」
彦星「ならいいけど。……ホント、心配してねーからな」
織姫「ふふん。分かっておる、分かっておるとも」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 19:40:29.09 ID:C0zp+Q/kO
織姫「さて、早速今年のデートと洒落こむかの」
彦星「そうだな。川のこっち側はどっか、新しいとこでも出来たのか?」
織姫「いーや、なーんも変わっとらん」
彦星「じゃあ、適当に歩いてから落ち着けるとこ行くか」
織姫「ま、立ちっぱなしの歩きっぱなしでは、わらわはいつまで経っても押し倒して貰えんしの?」
彦星「なっ、まだそんな事言ってんのかバカ!」
織姫「途中で勇気がみなぎって来ぬとも限るまい? おなごの方から押し倒すと不吉じゃと、古の神話にもあるしの」
彦星「……」
織姫「そなたが勇気を出してくれるまで、わらわは毎年我慢の子じゃよ」
彦星「……す、すまん」
織姫「よいよい、惚れた弱みじゃ。ヘタレなところも魅力のひとつよ」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 19:53:13.39 ID:C0zp+Q/kO
彦星「どうしてこう、俺達は毎年毎年、天の川のほとりに落ち着いてしまうのか」
織姫「こんな川、いつも見ておるのにな?」
彦星「まったくだ」
織姫「まあ、落ち着いてしまったものは仕方ない。弁当でも食うとしよう。ほれ、作ってきた。じゃーん」
彦星「うおっ、凄く美味そう」
織姫「練習の成果じゃ。この一年間、それはそれは大変じゃった……」
彦星「察するに余りある……。お前、前まではかなりの料理下手だったからな。じゃあ、いただきます」
織姫「はい、あーん。召し上がれ」
彦星「ちょっと待て、それはハズい」
織姫「誰も見ておらぬというのに」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 19:56:17.82 ID:w5GAAqwL0
そうか、今日は七夕なんだな…
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 20:00:29.86 ID:C0zp+Q/kO
彦星「いや、地上で人間が見てる。多分。ほら」
織姫「ふふん。それが本当ならば、近頃の天体望遠鏡とやらは随分と性能が増したようじゃの。せっかくじゃ、人間達に見せ付けてやろう。あーんせよ」
彦星「しょうがないな……。あ、あーん。……あむ。あっ、美味い!」
織姫「そうかそうか! それは良かった!」
彦星「美味いぞー!」
織姫「調子の良い奴じゃ。地上へ向けてそんなに大声で叫びおって。……美味いそうじゃぞー!」
彦星「お前も俺の事言えるか」
織姫「だって、嬉しかったんじゃもの……」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 20:10:35.07 ID:C0zp+Q/kO
彦星「食った食った。……ちょっと量が多かったな、弁当?」
織姫「そなたにはたっぷり精を付けて貰おうと思っての」
彦星「……」
織姫「あ、いやいや、男女の交わりに関する意味だけでは無くて。牛飼いの仕事は大変であろう?」
彦星「……あ、ありがとな」
織姫「どういたしまして。……しかし、ここまで尽くしたのじゃから、そなたからは何かお返しが欲しいものじゃな」
彦星「あっ、そうか。ごめんな、気付かなくて。えーっと……」
織姫「とりあえずわらわにチューせよ」
彦星「……俺の口、今はお前の作った玉子焼の味がすると思うんだけど。とりあえず天の川の水ですすぐか……」
織姫「レモンの味など期待しとらんから、これ以上川の傍に行くな。そなたは迂闊じゃから確実に川へ落ちて、そのまま銀河の果てまで流されて溺れ死ぬぞ」
彦星「でもな……」
織姫「歯は磨いて来たであろう?」
彦星「そ、そりゃまあ」
織姫「ならば、それで充分じゃ」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 20:20:13.36 ID:C0zp+Q/kO
織姫「……」
彦星「……」
織姫「……こうしてちゅっちゅしてる間にそなたの手がわらわの胸やら何やらに伸びるなどという、ドキドキの緊急事態にはならぬのか?」
彦星「緊張して……」
織姫「キスぐらいなら毎年やっておるであろうに」
彦星「でも一年振りだから……。あと、だんだんディープな感じになってるというか」
織姫「それはディープなキスにもなるであろう。もう何百年もわらわはこうして焦らされておるのだぞ。はよう押し倒してわらわに子を成せ」
彦星「せっかく子供を生んでくれても、俺はその子に一年にいっぺんしか会えないじゃないかよ……」
織姫「古来より旦那元気で外が良い、というしの。養育費さえくれれば、わらわは文句など言わんぞ?」
彦星「俺は一人っきりで寂しいままだろ。毎日お前と子供の事考えながら、一人で牛飼いしてさ……」
織姫「仕方ないであろう、一年に一度しか会えぬのだから。そなたと同じくわらわも寂しいのだし、当然子も寂しい思いをしよう」
彦星「……ああ、もう。なあ、もっとキスしてていいか?」
織姫「うむ。時間が許す限りならな?」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 20:34:07.68 ID:C0zp+Q/kO
彦星「……そろそろ、帰らないと」
織姫「なんじゃ、チューばかりしておる間にもうそんな時間か。時の経つのは早いものじゃな……」
彦星「ああ、ホントだな……」
織姫「そなたも、来年こそはあと一歩の勇気が出せると良いの。どうせ、今年は思い切ってゴムの二、三枚くらい忍ばせて来ていたのであろう?」
彦星「バレてたのか。まあ、お前への礼儀というか、……一応な」
織姫「わらわはそんなもの無しでしても全然困らんがな。ま、来年もその意気じゃぞ。期待しておるからな」
彦星「来年こそはまあ、何とか、……するよ」
織姫「その言葉、決して忘れぬぞ? ……あ、そうそう。これを持ち帰れ」
彦星「……服? 俺のか?」
織姫「夏着じゃ。わらわが織った。今年の夏は暑そうじゃからな?」
彦星「……ありがとな。大事に着るよ」
織姫「まあ、これくらい……年に一度のデートじゃし、な……」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/07/07(土) 20:45:07.73 ID:C0zp+Q/kO
彦星「織姫!」
織姫「な、なんじゃ! 今更発情しても遅いぞ! 刻限が迫っておるというのに!」
彦星「織姫、……好きだ。愛してる」
織姫「わらわもじゃ。あまり泣くな、わらわにモテぬぞ?」
彦星「……織姫、じゃあな。また来年」
織姫「うむ、また来年。そなたの牛を大切にするのじゃぞ」
彦星「……」
織姫「……また来年! きっとじゃからな!」
彦星「……ああ。来年、な」
おわり
引用元
織姫「ほう。今夜こそ、わらわを押し倒す気になったのか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341656796/