2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:05:48.87 ID:Mu1bmGiZ0
<魔王城最深部・魔王の間>
魔王「ぶつぶつ……ところでどうじゃ?わしと手を組むなら……えーと、何するんだったっけ」
側近「ちょっと、そんな調子で大丈夫なの?もうすぐ勇者パーティが到着するみたいよ」
魔王「予定より早くない!?まだマニュアルの『勇者がやって来た時の台詞の例』すら覚えてないってのに!」
側近「んなもんアドリブでどうにかしなさい!魔王でしょ!」
魔王「魔王だからってそうホイホイと壮大な台詞が吐けるわけじゃないんだって!だからこうマニュアルを読んで先人達の知恵をだなぁ」
側近「あ、勇者達が来るわ!ほらしゃんとして!」
魔王「なっちょっまっ、ええいしょうがない!こうなったら覚悟を決めて、後は野となれ山となれだ!」
引用元
勇者「惚れた」魔王「え」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300755911/
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:06:56.17 ID:Mu1bmGiZ0
ズガァァン!!
魔王「扉が!?」
側近「こっちに破片が!」
魔王「っ、防御魔法!」
キィィィン!ガガガガガッ
魔王「あ、危なかった……。それにしてもいったいなんだったんだ?今のは」
側近「ま、魔王!あれ!」
?「うわぁ、これはまた派手にやりましたねぇ。粉塵が舞って奥が見えませんよ」
?「確かに煙たっ、しっかし本当にいいのかねぇこんな開け方で。勇者的に」
?「……戦争はルール無用。だから問題ない」
?「そうだ、そもそもそんな細かい事を気にするくらいならこれからの心配をしろ」
魔王(さっき扉を吹き飛ばした技、それにこの気配……姿は見えないけど間違いない)
?「何せ私達の敵は……」ヒュンッ
ゴウッ
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:07:50.85 ID:Mu1bmGiZ0
側近(粉塵が吹き飛んでくっ……)
魔王(遂に来たか……)
勇者「魔王なのだからな……っ!?」ピクッ
魔王(勇者!……ん?)
勇者「―」ポケー…
魔王「何か様子が少しおかしい気が……」ヒソヒソ
側近「魔王を目の前にして怖気付いてるんじゃないの?見た感じまだ女の子って感じだしね」ヒソヒソ
側近「そんなことよりほら早くっ」ヒソヒソ
魔王「あ、ああ……」ヒソヒソ
魔王「ん、コホンっ。……よく来たな、勇者y」
勇者「惚れた」
魔王「え」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:08:49.41 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「あー……うん。……よく来たな、勇者y」
勇者「好きだ」
魔王「……そうだねスキーって面白いよね」
勇者「結婚しよう」
魔王「どうしよう側近この人の言ってる事意味分からない!」
勇者「む、魔族には結婚という習慣がないのか?なら教えてやろう、結婚というのは」
魔王「それはわかるから!魔族にもあるから!」
勇者「そうか、それならば問題ないな」
魔王「お願いだからちゃんと会話してよ!」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:09:43.34 ID:Mu1bmGiZ0
側近「ハッ、おおお落ち着きなさい魔王、これは相手の精神攻撃よ。私達を動揺させるための罠よ!」
魔王「な、なるほど……」
勇者「む、失礼な。私は生まれてこの方一度も嘘をついた事は無いぞ」
魔王「って言ってますが」
側近「いやいや実はそれ自体が嘘なんだって、ああ見えて実はとっても腹黒なのよ」
戦士「おいおい勇者に向かって何様だよてめぇら、ていうか……勇者と結婚ってどういう事だよ畜生ぉぉぉぉ!!!!」
魔法「『この戦いが終わったら、お前に大事な話があるんだ』とか言ってたのに……プッ」
戦士「笑うなぁ!」
僧侶「そうですよ魔法使いさん。彼だって頑張ってたのですから」
戦士「僧侶お前……」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:11:12.82 ID:Mu1bmGiZ0
僧侶「例え彼が給料三ヶ月分の指輪を用意しており、結婚式場も事前に予約済みで、既に子供の名前や今後の人生設計まで事細かにノートに書き溜めてあったりその他etc・・・の全てが無駄になったとしても、けっして笑ってはいけませんよ?」
魔法「わかった」
戦士「僧侶お前ぇぇぇぇ!!!!」
魔王「これはひどい」
側近「腹黒だったのはどうやらあの僧侶だったようね、神に仕えている身とは思えないわ」
僧侶「いえいえ僕なんてそんな大した事ありませんって」
側近「聞こえてるんかい。てか褒めてないし!」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:11:59.54 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「戦士、お前好きな奴がいるのか?」
戦士「っ、それは……」
勇者「まぁ相手が誰だが知らんがお互いに頑張ろうじゃないか、応援してるぞ!」グッ
戦士「死んでやるぅぅぅ!」
ザシュッ!
魔法「あ、自殺した」
僧侶「はいはい蘇生魔法蘇生魔法」
パァァ
戦士「俺は死ぬ事すら許されないのかよぉ……」ウウッ…
側近「なんか……酷いパーティね、勇者様御一行のくせに」
魔王「ていうかさ、話逸れてきてない?」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:12:50.57 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「ていうかさ、話逸れてきてない?」
勇者「む、言われてみれば」
側近「元はと言えばあんたのせいでしょうが!」
魔王「まぁまぁ、それじゃあ話を戻そうか」
勇者「そうだな。それじゃあ挙式はどこで挙げようか」
魔王「戻るどころか斜め上に飛んでった!?」
僧侶「勇者さんは天然ですからねぇ」
魔法「天然ならしょうがない」
魔王「そっか天然かぁ、それならしょうがないね」
側近「そこはつっこむところでしょうが!つか勇者と魔王が結婚とか有り得ないから!」
勇者「何故だ?」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:13:29.54 ID:Mu1bmGiZ0
側近「そんなもん敵同士だからに決まってんでしょ!」
勇者「しかし恋愛を題材にした物語には、対立する立場や身分の違う者同士の恋愛を取り扱った物も結構多いぞ?」
側近「いやまぁ確かにそうなんだけどさ、でもそもそも種族から違うし」
魔法「大丈夫、その気になれば何だって超えられる。種族の差も……性別の差も」ニヤリ
魔王・僧侶(一瞬寒気が……)
勇者「なるほど、つまり愛の前では全てが平等という事だな」
魔法「正解」
側近「んなわけあるか!そんなん成立するのは空想の中だけよ、not現実!」
勇者「私はハードルが高いほど燃えるタイプだからな、非現実的なくらいの方がやりがいがある」
勇者「それに、御伽噺の様なドラマチックな恋愛は乙女の憧れだ。うむ……いけるな!」
側近「いけるかぁ!兎に角駄目なもんは駄目!無理!不可能なの!」
勇者「たとえ駄目でも無理でも不可能でも……それを成し遂げるのが勇者というものだろう?」
側近「知るかぁぁぁぁ!」
魔法「名言入りましたー」
ギャーギャーワーワー
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:14:15.11 ID:Mu1bmGiZ0
僧侶「……いやぁ、僕らすっかり蚊帳の外ですねぇ。ね、魔王さん?」
魔王「そうだねぇ僧侶さん。ってか僕ら普通に話しちゃっていいの?一応敵同士なのに」
僧侶「でもほら、見ての通り何かグダグダでそういう雰囲気じゃないですし。それにあなたってほら、こう言ってはなんですがあんま強そうじゃないじゃないですか」
魔王「うわぁ魔王に向かってなんて事を。まぁよく言われるし否定はしないけどね」
僧侶「それにしても噂って案外当てにならないんですね、実際に会ってよく分かりました」
魔王「噂?」
僧侶「ええ、魔王についての噂です。例えば魔王は――」
カクカクシカジカ
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:14:50.43 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「うんうん……ああ成る程。……実はあってるといえばあってるんだよぁ、それ。正確には『あってた』だけど」
僧侶「過去形ですか」
魔王「多分その噂、全部父さんの事だよ。『前』魔王のね」
僧侶「ふむ……まさか魔王が世代交代をしていたとは。それで、前魔王はどうなったのですか?」
魔王「家出した」
僧侶「……家出、ですか」
魔王「Yes家出。一週間前に突然『父はもう隠居する。探さないでくれ、後は頼む』って書置きだけ残して消息不明、ついでに金とか貴金属の類も殆ど消失してた」
僧侶「うわぁ酷い。しかし一体何故……」
魔王「さぁねぇ、心当たりも殆ど無いし。強いて挙げるなら、あの人が浮気癖持ちで最近も夜な夜な女性を家に連れ込んでたとか、仕事とか人間関係の事で愚痴ってたくらいしかないけど、それらは違うだろうしなぁ」
僧侶「はいアウトー、十中八九駆け落ちじゃないですかそれ。ていうか不倫?不倫ですよねそれ」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:15:46.79 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「やっぱそう思う?そりゃそうかぁ。……でもあんなんだって一応魔王なんだし、職務ほっぽりだして駆け落ちなんてしないってなぁ、思いたいんだけどなぁ……やっぱ駆け落ちなのかなぁ……。あ、ちなみに母さんは随分前に父さんの浮気癖に嫌気が差して別れたから、不倫とかそういう問題はなかったり」
僧侶「ま、魔王なのにバツイチって……」
魔王「まぁ今は僕が魔王なんだけどね」
僧侶「そうでしたねー……」
勇者「ふむ、成る程。つまり魔王はまだ成り立てなのだな」
僧侶「あ、勇者さん。もう話は済んだのですか?」
勇者「ああ。交渉の結果、やはりこういう大事な事は本人の意思を尊重するべきだろう、という結論に達した」
僧侶「やっぱりというか当然というか、まぁそれが妥当ですよね」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:17:12.66 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「ええっと……要するに、僕が勇者さんの告白を受けるかどうか選べ……と?」
魔法「……受けりゃ結婚断りゃ決闘」
側近「つうわけだからビシっと断ってやんなさい!」
勇者「さぁ来い魔王!私はお前の事を信じt」
魔王「えっと……すいませんが、お断りさせていただきます」
勇者「なん……だと……」
側近「よっしゃあ!だから言ったでしょ、魔王と勇者が結婚なんて出来ないって!」
魔王「いや、そういう問題じゃなくてさ」
勇者「そんな……なら私に何か至らないところでもあったのか……?」
魔王「それ以前に……僕は君の事を全然知らないんだよね。まだ知り合ったばかりだし」
僧侶「まぁ当然といえば当然ですよね、知り合ったばかりですし」
魔王「それに……」
魔法「それに?」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:18:00.29 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「今うち貧乏だから他人養う余裕ないし……」
魔法「魔王なのに?」
僧侶「そういえば言ってましたねー、金品全部取られたって」
魔王「そうそう。しかもさ、それが原因で、魔王城に居た父さんの部下も全員辞めていってさ……」
僧侶「そういえばここに来るまで魔物一匹見かけなかったので、何か変だと思ってたんですが、そんな理由が……」
側近「そう、だから結婚とかそういうのしてる暇ないの!わかったらさっさと帰れ!」
勇者「……つまり、金があればいいんだな?」
魔王「へ?」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:19:29.21 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「いいか魔王、私はこの魔王討伐の際に必要経費としてチョメ万G(ゴールド)を国から貰っている」
魔王「なっ…!」
側近「チョメ万Gって……いつもの魔王城の年間予算より多いじゃない!」
勇者「これだけの金があれば城一つはともかく、魔王個人なら一人や二人、数十年は余裕で養えるだろうな」
魔王「た……確かに……」
勇者「ふふっ、ここ以上は言わなくても分かるな?さぁ魔王、観念して私と籍を入れるがいい!」
魔王「くっ……僕は一体どうすればっ」
側近「どうするも何も無いでしょ、さっさと断りなさいよ!」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:21:10.22 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「側近、と言ったね。安心するがいい、私達が結婚した暁には君の面倒も纏めて見てあげよう」
側近「んなもん結構よ!ていうか魔王、あんたもし勇者と結婚したら魔王から『ヒモ』にランクダウンするのよ!それでもいいの?」
魔王「う……そ、それはよろしくないかも」
勇者「ヒモ?そいつは違うな。魔王はな……『ヒモ』ではなく、『主夫』になるのだ!」
側近「いやそれあんま変わらないから」
僧侶「物は言い様ですねー」
魔王「……でもそれならアリかも」
側近「なんで!?」
魔王「ほらだってさ、『ヒモ』って言われたらいかにも何にもしてなさそうな感じだけどさ、『主夫』ならこう、家事のエキスパートって感じが……しない?」
側近「知るかっ。てか言い方の問題じゃなくて、魔王なのに勇者の稼ぎに頼って暮らすってのがおかしいって言ってんの!」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:22:44.60 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「それはそうだけどさ……でも僕元々魔王なんてやりたくなかったし、家で大人しく家事してる方がいいなーってさ……」
魔法「……じゃあもう、魔王辞めちゃえばいいんじゃない?」
一同「……」シーン…
魔王「……その発想はなかったわ」
勇者「そこに気づくとは…やはり天才か」
側近「……ハッ、あまりにも有り得ない発想で思考が停止してたわ。つうか魔王って辞める辞めないとかそういうのじゃないでしょ!」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:23:27.78 ID:Mu1bmGiZ0
側近「……ハッ、あまりにも有り得ない発想で思考が停止してたわ。つうか魔王って辞める辞めないとかそういうのじゃないでしょ!」
僧侶「でも魔王さんの父君は辞めましたよね、夜逃げみたいな形ですが」
側近「あれは辞めたんじゃなくて逃げたの!ていうか魔王が魔王辞めたらだれが魔族達を纏めるのよ!」
魔王「って言われてもなぁ、元々父さんはあちこちを侵略するだけして、その土地の政治は完全に部下任せにしてたし。んでもってその部下達はもう辞めて、ついでに父さんから預かってた土地を自分達の領地にしてるけど、前と全く変わらずにちゃんと魔族を纏めてるって話だからなぁ。今更魔王だからって首突っ込むのはちょっと気が引けるかも」
側近「くそうあのエロ親父がしっかりしないせいで……ってあいつら何勝手に領地奪ってるのよ!?元部下だからってやっていい事と悪い事がっ」
魔王「いや、土地は僕があげたんだけどね。退職金払えないからその代わりに」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:24:21.47 ID:Mu1bmGiZ0
側近「そっ、そんなの聞いてないわよ!」
魔王「だってこれ言うと側近怒ると思ったから……怒った側近怖いし」
側近「魔王の癖に情けない事言うんじゃないわよ!大体側近を怖がる魔王なんて……」
魔王「でも側近の方が強いし」
側近「ふふん、まぁねっ」
僧侶「まぁあっさりと衝撃的な事実を」
勇者「……ん?それならば側近が魔王やればいいんじゃないのか?」
側近・魔王「……え?」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:25:43.96 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「いや、昔本か何かで『魔族の世は力が全て』みたいな事を見た記憶があったことを思い出してな。本来魔王というものは魔族の中で最も強い者なのだろう?魔族の王なのだから」
側近「そ、そりゃあそうだけど……」
勇者「つまりだな、その魔族最強である魔王より強い側近にこそ本当の『魔王』たる資格があるのではないかと、私はそう思うのだが」
魔王「な……成る程!確かにその通りだ」
魔法「ナイスアイデア」
僧侶「ふむ、筋は通ってますね」
側近「ちょっ、なにこの展開おかしくない?」
勇者「いや、おかしくはない。なぁ魔王」
魔王「そうだね勇者さん。と言う訳で側近、後は頼んだ!」
側近「えっ、ちょっちょっと魔王!?」
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:27:00.28 ID:Mu1bmGiZ0
側近「えっ、ちょっちょっと魔王!?」
魔王「いや、もう僕は魔王じゃない、これからは君が『魔王』だ……。あ、皆。僕の本名は『男』って言うので、これからはそっちで呼んでくれませんか?」
勇者「ああ、わかったよ男。それじゃあ話も済んだ所だし……帰るか!」
僧侶「そうですね……僕達の国へ!」
魔法「こんな事もあろうかと、帰還用アイテムは準備してある」
男「それじゃあこれからよろしくお願いしますね、勇者さん」
魔王「な…な…」
魔法「それでは……帰還用アイテム発動」
キイィィィィン
男「じゃあな側近、いや……魔王!」
ピカッ!
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:27:37.76 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「……」
シーン…
魔王「……」
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:28:58.92 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「……な……」
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:29:31.71 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「……何よこのオチはあぁぁぁぁぁ!?」
魔王「認めない、認めないわこんなの!リテイクリテイクリテイクウゥゥゥゥゥ!」
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:30:14.24 ID:Mu1bmGiZ0
<とある王国の王城・中庭>
ピカッ
魔法「……とうちゃーく」
僧侶「久々の故郷ですねぇ」
男「おお、同じ城でも魔王城とは全然違うなぁ」
勇者「さて魔王、さっそく籍を…」
僧侶「籍を入れるのは一向に構いませんが、今回の事の顛末を王へ報告してからにしてくださいね」
男「あ、そういえば皆の目的って魔王退治だったよね。結局僕もそっき…魔王も退治されてないんだけど、大丈夫なの?」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:31:52.42 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「私達が退治すべきだったのは『悪逆非道の限りを尽くしたと噂される凶悪な魔王』だ。で、その魔王……君の父親は既に魔王を辞めており、行方知れずで尚且つご隠居の身なんだろう?だったら退治のしようが無いし、する必要も無いさ。もう見つからないし見つける必要もないからな。というわけで籍を」
僧侶「報告が先ですからねー」
勇者「お前が適当に済ませればいいだろう、見ての通り私は忙しいのだ」
僧侶「いやいやそういうわけには行きませんて。というか魔王…じゃなくて男さんはいいんですか?勇者さん籍入れる気満々ですが」
男「うーん。良いか悪いかは別にして、こっち選んじゃったからなぁ。しょうがないよ」
僧侶「『魔王を取るか、結婚を取るか』でしたっけ。まぁそういう事なら仕方ないですが……ではそれを抜きにした場合、個人的にはどうなんですか?勇者さんとの結婚」
男「いやぁ、いきなり結婚って言われても実感沸かないからよく分からないけど、勇者さんは良い人そうだから……まぁ多分大丈夫だと思うよ?お互いの仲はこれから深めていけばいいさ」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:32:26.66 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「さすが私の夫だな、器の深さが垣間見えるぞ!」
男「て、照れるなぁ。……そういえば勢いで魔王押し付けちゃったけど、側近大丈夫かなぁ」
僧侶「もう他の女性の心配ですか、勇者さんが嫉妬しますよ?」
勇者「む、私はそこまでわがままではないぞ」
魔法「……ノーコメントで」
男「そういう事でなくて。……ま、あいつなら大丈夫か。色んな意味で強いし」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:32:56.89 ID:Mu1bmGiZ0
勇者「信頼してるんだな」
男「ま、幼馴染だし。それに強いのは本当だから」
勇者「幼馴染、か。……そうだ、男の昔の話を聞かせてくれないか?」
男「僕の?あんま面白くないと思うけど、それでもよければいくらでも。そうだなぁ…」
THE END.
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:33:56.30 ID:Mu1bmGiZ0
キャッキャウフフ
僧侶「楽しそうですねぇ向こうの二人。こっちの二人はすっかり蚊帳の外ですか」
魔法「二人……あ」
僧侶「どうしたんですか僧侶さん」
魔法「……戦士は?」
僧侶「……あ」
僧侶「……まぁ、ほっといてもその内帰ってくるでしょう。戦士さんなら」
魔法「……それも信頼?」
僧侶「さぁ?どーなんでしょうねー」
魔法「……素直じゃない」
……END?
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:34:52.81 ID:Mu1bmGiZ0
<魔王城最深部・魔王の間>
シーン…
魔王「……はぁ、いくら一人で騒いだって無意味だし、虚しいだけよね」
魔王「……」
グッ
魔王「よし!過ぎ去った事にくよくよ言ってる暇は無いわ!取られたら取り返す、そうと決まれば行動開始よ!」
魔王「ってあれ?あいつは確か……」
戦士「ブツブツ……ぇかなぁ……早く世界滅びねぇかなぁ……」
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:35:28.69 ID:Mu1bmGiZ0
魔王「お、置いてかれたのかしら?……アンタそんな隅っこでなに体育座りしてブツブツ呟いてるのよ。もう皆帰ったわよ」
戦士「世界滅b……何だって!?」
魔王「いや、だから皆帰ったって」
戦士「あっ、あいつら仲間を置き去りにしやがって……てか勇者は、結婚はどうなった!?」
魔王「アンタ今まで何も聞いてなかったのね、実は……」
カクカクシカジカ
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:36:05.41 ID:Mu1bmGiZ0
戦士「そうか……、噂の魔王が魔王の父親でそいつは既に逃げ出していて魔王が魔王を辞めてお前が魔王になって辞めた魔王は勇者達と帰った……」
戦士「……やはり死ぬしかないな」チャキッ
魔王「止めなさい!」ガッ
戦士「離してくれぇ!俺にはもう生きる理由が無いんだ、お前になら分かるだろ!お前も同じ痛みを感じているんだろ!?」
魔王「だからこそよ!同じ痛みを抱える者同士だからこそ、私はアンタを止めるのよ!」
戦士「な……」
魔王「……アンタ、私と組まない?」
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:36:38.91 ID:Mu1bmGiZ0
戦士「何を言って……はっ、まさかお前…」
魔王「そう、そのまさかよ」
戦士「……NTRか」
魔王「ふっ、取られたら取り返す。ただそれだけの事よ」
戦士「……いいぜ、乗った!」
魔王「あんたならそう言ってくれると思ったわ。今から私達は敵同士ではなく、共に理想の未来を目指す仲間。そう……」
魔王「『NTR同盟』の、仲間よ!」
戦士「NTR同盟……良い名前じゃねぇか。実を言うと俺はNTRも結構いける口だから……フハハハハ、滾って来たぜぇ!」
魔王「さぁ待ってなさい魔王、いや男!最後に笑うのは私だって事を、思い知らせてやるわ!」
……to be continue?
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県):2011/03/22(火) 10:37:12.03 ID:Mu1bmGiZ0
おまけ。
戦士「ところでNTRってさぁ、能動形じゃなくて受動形だよな。使い方間違ってね?」
魔王「最初に言ったのはあんたでしょうが。それに、こういうのは見栄えさえ良ければ細かい事はいいのよ」
戦士「それもそうだな!ようし、待ってろよ勇者!」
魔王「さぁ、私達の戦いはこれからよ!」
ご愛読、有難う御座いました!
493:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/18(日) 23:28:28.60 ID:+VaqypjAo
おつおつ!!
496:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/23(金) 00:40:11.49 ID:qbFQm7k0o
乙
516:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国四国):2012/01/28(土) 17:19:54.60 ID:CLOrMGHwo
乙
引用元
勇者「惚れた」魔王「え」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300755911/